ぷらっとひとり旅

子育てを卒業し、ふと気がつけば、時間を自分のためだけに使える自由な生活になりました。何をしようか?始めたのはひとり旅です。

#49 運慶像を訪ねる旅

2017年 東京国立博物館で開かれた運慶展に行く機会がありました。


運慶というと東大寺の南大門 金剛力士立像を作った人。運慶・快慶という有名な仏師だという程度の意識しかありませんでした。


運慶の作とされる31体中22体を展示していて、コロナ以前だったので大行列ができ、会場内も人混みでしたが、仏像の表現力の豊さと芸術性で、大衝撃を受けました。それから運慶像のある寺を訪ねてみたいと思っていました。


今回は沼津に1泊し、車で伊豆の国市の願成就院と横須賀美術館の運慶展を一挙に見学します。運慶像は7点です。


普段の旅は電車、バスを乗り継いでの旅です。
今回は車で訪れます。運転の自信はあまりないので、カーナビを頼りに走る旅です。


願成就院は1186年に北条政子の父の北条時正が建立し、屋敷から歩いて参拝できる場所にあった、庭園があった大寺院だったようです。NHKの『鎌倉殿と13人』でも運慶が登場し、阿弥陀如来坐像が写っていました。かつてはもう2体観音菩薩立像と勢至菩薩立像が立っていたと言われています。不動三尊像、毘沙門天像と合わせて5体。いずれも素晴らしい像です。運慶像は人間そのもののリアルさが感じられ、毘沙門天は知っている人が鎧を着たらこんな感じになるな〜と思わせる像です。当時にしたら画期的な像だったのでしょう。


その後、関東での仕事をいくつも受け持ったようで、三浦半島の浄楽寺には阿弥陀如来三尊像、不動明王像、毘沙門天像の5体が残っています。こちらは和田義盛と妻が発願して1189年に制作されたようです。願成就院に残る、不動明王の脇侍の制吒迦童子(せいたかどうじ)と矜羯羅童子(こんがらどうじ)は残っていませんが、同じ構成だったと推察されます。


横須賀美術館では運慶展として浄楽寺の不動明王像と毘沙門天像を展示しています。
2つのお寺の像は、同じ組み合わせのちょっと変形バージョンって感じです。私でもお金があったら、これと同じものを作って!と言いたくなるほど、どちらも魅力的。きっと和田義盛も一目見て、めちゃめちゃ気に入ってしまったのだと思います。


三浦半島では慶派が活躍していて、慶派の仏像が展示されていて、『鎌倉殿と13人』のドラマが好きな方は、ぜひ訪れてください。


ドラマでは先週、北条氏が比企一族を滅ぼしましたが(1203年)、和田義盛一族はこの後、1213年北条義時らによって滅ぼされています。結局は、権力を争うサバイバルな時代で、権力者たちが仏様にすがりたくなる気持ちがよくわかります。


横須賀美術館は海を見ながら食事ができるレストランもあり、素敵な美術館でした。